介護士におすすめしたい高齢者向けの運動は、ほかの運動とは異なるものでしょうか。まず、なぜ高齢者にとって運動が必要かというと、運動をすることで血流がよくなり、脳内のホルモン分泌が促されます。体を動かすということは、五感をつかうことになるため、感覚器官や行動器官が活発になります。次に、筋肉の衰えを回復させます。筋肉はつかなければ徐々に衰えていくのです。いくら若い頃に陸上の選手だったとしても、30代以降になにも運動をしなければ、普段から少しずつ行っている人に勝てなくなるでしょう。
高齢者に運動が必要なことがわかりましたが、どんな運動が適しているのでしょうか。それは歩くことです。体の中で一番大きな筋肉は「大殿筋」と呼ばれるお尻から腿にかけてついている筋肉です。この筋肉は、太腿にある筋肉や背中の筋肉ともつながっています。大きな筋肉は下半身についているので、それを動かす、つまり歩行が最適な運動なのです。
高齢者向けの歩行の仕方について、いくつかの例を挙げます。一人で歩ける高齢者は問題ありません。無理せず、ゆっくり歩いてください。日中はもちろんですが、歩行はなるべく朝の時間帯に行うのが良いでしょう。なぜなら、頭が一番活性化するからです。1つ目は、ゆっくりとまっすぐに歩く。杖をついてもかまいませんが、姿勢に気を付けること。遮断物が近くにないことをチェックして歩きます。2つ目は、リズムにのって歩くことです。音楽を聴いていると、いつもの歩行が短く感じられます。ただし、音楽を流す場合は、公道ではなく屋内の安全な場所で歩きましょう。